健康寿命延伸のための新しいフィットネス方法の開発

研究代表者:勝俣良紀

心臓自律神経反射機能のフィットネスへの応用

心臓自律神経反射機能(有機的な交感神経系ならびに副交感神経系の調節)は、日常活動時の心機能の調整に関与するほか、様々な心疾患においてその発生、病態、治療、予後に密接に関係しています1。

特に、生命に直接影響を及ぼす心室頻拍や心室細動をはじめとした多くの不整脈は、心臓自律神経反射機能と強い関連があることが報告されています。そのため、心臓自律神経反射機能に注目した、心疾患に対する治療法の開発は喫緊の課題となっています。

脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管イベントを予防するためには、早期診断に加え、適切な栄養や運動などを行うことが重要となります。

ACC/AHA (米国心臓病学会/米国循環器学会)「心血管疾患リスク低減のための生活習慣マネジメントのガイドライン」では、血清コレステロールおよび血圧を低下させるために、有酸素運動を40分間、週3-4回実施することを推奨しています。

また、脳心疾患に対する有酸素運動療法はその有効性が多く報告されています2。しかし、医療機関以外で有酸素運動 (自宅やジムなどでの運動) を行う際は、脈拍数、エルゴメーターの負荷量、ボルグスケール*3などを指標としますが、予想外に弱いまたは強い運動を行っている可能性があります。

そこで、我々は、心臓自律神経反射機能のモニタリングにより、個々人の日々の体調に合わせ、有酸素運動限界をリアルタイムに知らせながら運動をすることを可能とするシステムの開発を行っております。そのために、現在、慶應義塾大学医学部、循環器内科と共同で以下の臨床研究を行っております。

*1:J Electrocardiol. 1992 Apr;25(2):79-88., J Am Coll Cardiol. 1996 Mar 15;27(4):847-52.
*2: 2009;301(14):1451, JACC 2012;60:1521-
*3:運動したときの感覚(つらさ)を、数字と簡単な言葉で表現したもの

研究代表者:勝俣良紀
所属:慶應義塾大学循環器内科助教、スポーツ医学総合センター循環器担当専門:内科・循環器内科・不整脈・心臓リハビリテーション
連絡先:goodcentury21@keio.jp

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